備前の徳利、唐津のぐいのみ
先だって師匠が「今度和楽で色々やるよ」と仰っていた。
前号もそうだったけれど、最近の同誌は僕の気になる事を特集してくれて嬉しい。
…で、内容は「バッチリ」だった。
敷居を低く、自分なりの楽しみ方を提案する。
そこには和楽なりの緊張感も伴っていて…。
ちょろりと唐津の筒なんかもでていました。
![イメージ 1](https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mstmrtrsp/20010101/20010101001920.jpg)
←今月の和楽に掲出されている
師匠の筒(平盃の右隣)~既出アーカイヴより。
こう言う感じ、師匠の真骨頂だ。
権威主義に陥りがちな骨董業界にこの感じは絶対に必要だなぁ、と改めて思う。
古いものと新しいものをバランス良く楽しむ感じが僕には心地よい。
発信力のある師匠には引き続きこの方向で前進していただきたい、そう強く思いました。
この和楽は保存版だなぁ。
…さて、掲題の件。
失礼とは存じつつ、どうしても再会したかった伝世の斑を懇願し、御持ちいただいた。
ゆっくりと取り出された斑。
「嗚呼、やっぱり素晴らしい」と思わず声に出してしまった。
時折書籍でみかけるものと同手。
定番の斑筒盃よりも細長く、惚れ惚れするフォルム。
釉薬は二度がけでカチンカチンに焼けていて、高台は碁笥底。
経年使用により滑らかな手触りが掌に馴染み、呑み易いのなんの!
![イメージ 2](https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mstmrtrsp/20010101/20010101001930.jpg)
見込みも素晴らしい。
こりゃお酒を誘います!
追い打ちをかけるように出てくる小森谷の皮鯨。
こちらも伝世。
艶やかに育っているその佇まいは筆舌に尽くせない。
堪らん。
![イメージ 3](https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mstmrtrsp/20010101/20010101001940.jpg)
二つ高台ならべるとやばいな。
お酒を二、三度御替わりしたタイミングでおもむろに備前の徳利が卓上に。
お茶席に入るサイズ。
すっとした形で口辺に意図的とも思えるゆがみがある。
肌は、やはり伝世の滑らかさと土味の良さがすばらしく…。
以前、とある席でミュージアム・ピースの備前徳利を使わせていただいた事があったが、それはそれで凄いと感じつつも琴線には触れなかった…が、この日の徳利は違った。茶席を経た緊張感と備前ならではの強さが併存し、僕の琴線を揺さぶった。堪らなかった。
備前の徳利に、斑と皮鯨。
ALL伝世。
![イメージ 4](https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mstmrtrsp/20010101/20010101001950.jpg)
使い勝手もよい。
師匠のご配慮のおかげで自身の価値観を変えるような、新たな影響を受けました。
無理をせず、気長に備前の徳利に近づきたい、そう思った一席でした。