古唐津 岸岳庵

24時間古唐津数奇 feat. 初期伊万里・李朝・木地盆

蛇蝎唐津

いつものように「ろくな唐津はないよ」と懇意の骨董屋さん。
「こんなものばかり」と机上にひろげられたものの中に、それはあった。
 …「グッ」ときた。

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肌理の細かい素地に灰釉、その上に鉄釉、更に透明釉(長石釉?)がかかった飯茶碗。紛れもない古作でちょい筒形。所謂「蛇蝎(だかつ)唐津」だ。

…(じゃかつ)とおっしゃる方も多いようですがここでは(だかつ)とします。



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陶片は今までに何度も接してきた。が、実際におのが手にしたのははじめてだった。口辺対角線上に二箇所のダメージ(九州直し)~多分焼成時に陶枕か何かが倒れこんできたのだろう~。そこから走る長いニュウが2本ばかり。焼成はしっかりで、釉調も良いし、竹の節高台も凛としていて好ましい。それなりに使用され、そこそこ味がついている。何より手持ちもGoooooooooooooooooooooood!








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見込みの釉薬も動きがあって良い感じ。







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奥高麗だろうが、斑だろうが、「酒器専」の僕は茶碗に反応はしない。
が、どうにもこうにも今回、何故か”やられて”しまった…。
滞店時間が経てばたつほど、所有欲は増してくる。店主に無関心を装いつつその茶碗に引き寄せられて行く自分。

こうなったらどうにもならない…。

意を決し、値段を問うが僕の見込みとは相容れない額。「相性が悪かったんだ」とその場は諦めるも時間の経過と共に更にのめり込む自分。「琴線に触れたなら無理をしてでも買っておけ」、と先輩方はおっしゃる。まさにその通りなのだが実践はままならないんだよなぁ。

蛇蝎は武雄系李祥古場、祥古谷、そして平戸系牛石古窯での生産が調査によって判明しているようだ。
僕の所有する牛石古窯の陶片と見比べると、今日の茶碗はまんま瓜二つ。間違いなく彼の古窯の産であろう。

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拙蔵の陶片も素地に土灰釉+鉄釉+透明釉(長石釉)







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牛石古窯(2008年春撮影)。






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ほんの少しだけ陶片や窯道具が落ちていて窯が築かれていたことを窺わせた。が、他の平戸系と比較するとその量は非常に少なかった。それが印象的だった。






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ようやく徳利の支払いが終った、ってのにこの始末。
唐津馬鹿、は更に加速度を増して行く…。
欲しいけど、どうにもならないなぁ(涙)。
この”涙”が自分を育ててくれる、なんてポジティヴに考えております。