沓茶碗
友人にお茶碗を見せてもらった。
沓茶碗。
「沓」、文字通りの形。窯中トラブルで変形したものではない、明らかに作為的に成形されたもの。
伝世で口辺に一箇所の共継ぎ。形もそうだが釉調が素晴らしい。写真で表現出来ていないのが残念だが全体的に深い黒色。
友人は「李祥古場、祥古谷、はたまた牛石」という。素地に長石(?)を含む釉薬をかけ、その上に鉄釉、さらに透明釉。蛇蝎を狙ったものなのか、どうなのかは判然としないが茶陶であることはほぼ間違い無しのもの。ただ、この沓茶碗、いわゆる「蛇蝎」の釉調を呈してはいない。
両手で持ち上げ、見込みをのぞくと実に気持ちが大らかに、豊かになる感じ。お茶をたててみたくなる、のんでみたくなる、とても良いお茶碗だ!
![イメージ 1](https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mstmrtrsp/20010101/20010101023510.jpg)
←古色と使用による摩耗によって判然とはしないが土味がなんとも良い。どうにも武雄系や平戸系のそれじゃない気が…(でもまぁ、以前にも書きましたが武雄系といっても鉄分の少ないもので焼いているものも多々あるし~★具体例:http://blogs.yahoo.co.jp/mstmrtrsp/36369898.html )。
前述の施釉法は松浦系の古窯発掘の陶片(何箇所か)でも確認している。←実物を見て、更に帰宅後拙蔵の陶片をみて脳内比較するに松浦系、ということで僕の中では着地。
といいつつも、友人の言が正しいのであろうなぁ。こんなことをあれこれ考えるのも古陶数寄の愉しさ、ゆえ。
”眼福”、の一碗でした。