古唐津 岸岳庵

24時間古唐津数奇 feat. 初期伊万里・李朝・木地盆

岸岳系(岸岳外系) 小十古窯

エレトップ森川店さんとのリンク3回目は「小十古窯跡」(←呼称は多々あり)。

肥前陶器:古唐津諸古窯の中で、唐津市内より最も近い窯跡がここ。過去3度ほど現地を訪れておりますが、車で凡そ15分の距離。岸岳諸古窯跡と異なって、所謂「衆人環視」状態ではないので本来の意味での窯跡散策が出来るので個人的にとても好きなところです。

アクセスは川口誠二さんの名著「肥前の古窯」にある通りで市内からは国道202号線千々賀経由が一番わかりやすいかもしれません。ナビに打ち込んでもちょっとわかりずらいかもしれません。近くまで行くと史跡案内板が出ていています。

農道の入り口にちょっとした空き地があるのでそこに車を止めさせてもらい、そこから300メートルほど歩いた農道右側が窯跡になります。

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今から2年程前の冬に彼の古窯を訪れました(周囲に開発の気配はなかったので、今の季節、木立が賑やかに芽吹いて美しい里山の態を成していると思います)。森川店さんのブログにあった写真と一緒のまま。で、初夏は蛍が凄そうです。その時分に来たいなぁ。





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窯は田んぼから現在の雑木林に向かって三基築かれていたようです。田んぼ周辺に陶片や陶枕や焼土といった古窯跡定番遺物はみられません。ただし雑木林と田んぼの境目、また雑木林の斜面のところどころには小さな陶片が見られます(雑木林の中は凄いブッシュで、しかも幽霊屋敷のような廃屋有り!一人で行くには結構勇気がいるかもしれません(笑)。





陶片の釉薬は二種類(土灰・長石)。多くが径12~13センチぐらいの小皿。ちょこっと碗や鉢、中皿。いずれも目跡は砂目で目跡は4つ。土味は良く言われていますがまるで李朝堅手のような、磁器を思わせる焼き締まり方をしています。

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友人の作陶家に聞いたところ、この辺りの地質は朝鮮半島と同じ、とのこと。彼の地と同じ砂岩を同じような釉薬朝鮮半島からやって来た陶工が器を作れば、まぁ、こうなるのでしょうね。
今まで伊万里の師匠に見せていただいたお茶碗や小皿以来、あんまり見かけません。小皿なんかがあったら欲しいなぁ。



因みにこの窯では少量ではありますが絵唐津も焼かれています。

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なんだか飯洞に似た筆致(ただ3度、彼の知で目を皿のようにして表土観察をしましたが絵唐津は確認出来ませんでした)。






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それと面白いのはこの窯は釉薬をかけていない素焼きの陶片が結構あること。一度素焼きしてから釉薬をかけて焼成していたんでしょうか?この辺は現地の作陶家の方々に改めて聴いてみたいところです。



唐津研究家皆が口を揃えて「唐津焼最初期創業の窯」とこの窯のことをそう言います。
ある意味頷けます。が、一方唐津肥前名護屋の経路にも近く、秀吉との関連も…なんて愚考したりしています。

前述の通り、唐津市内からも至近。また市内から呼子名護屋方面へ向かう際、ほん少しの寄り道で立ち寄れる古窯跡です。ちょいとチェックされたらいかがでしょうか?

☆過去の拙ブログ関連記事 http://blogs.yahoo.co.jp/mstmrtrsp/33871693.html