麗しの、伝世盃
打ち合わせでその日は終わり、と踏んでいた。
が、彼(友人の編集者)はその後に「呑む」つもりだったよう。
軽く誘われて、仕事場から至近の居酒屋へ。
ビールで乾杯。軽い世間話の後に「てっきり持ってこられる、と思ったのでこちらも、と用意していたんです」と氏は鞄をごそごそ。「僕は平盃が好きだって以前から言ってましたよね。覚えておられますか?でね、ようやくいいなと思える唐津に出逢えたんです」。
![イメージ 1](https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mstmrtrsp/20010101/20010101004410.jpg)
若干の緊張感のある空気が流れた後に出て来たものは…
なんとも麗しい唐津だった!
![イメージ 2](https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mstmrtrsp/20010101/20010101004420.jpg)
立縁は柔らかに端反る。
![イメージ 3](https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mstmrtrsp/20010101/20010101004430.jpg)
使い込まれた高台、酒を吸いまくった見込み…。
径は9センチを切る。
古格が品良く漂う、小振りの可愛らしい形。
馬盥、いや、平盃、と言うべきか?
以前、拙ブログでもK先輩の同系統の盃を紹介したが、それよりひとまわりもふたまわりも小さい。
土味はそれ=(道園)に酷似している。
師匠の斑の筒以外で、ここまで琴線に触れる盃はない。
嗚呼、凄すぎ…。
宴はその後も続いた。
が、僕は上の空で只管その平盃で酌を繰り返していた。
今もその盃の感覚が脳内ループしている。
あるところにはあるんですねぇ。
それにしてもいいなぁ、いいなぁ、Iさん!