古唐津 岸岳庵

24時間古唐津数奇 feat. 初期伊万里・李朝・木地盆

久しぶりの、窯跡巡り(取材)

過日、久しぶりに古唐津の窯跡を巡った。

2015年5月GWに行われる「唐津やきもん祭り」。
同イヴェントと骨董雑誌「目の眼」5月号(4月1日発売)がコラボレーションし
唐津特集」が組まれる事になった。
その特集の一環としての窯跡取材に協力させていただいた。

唐津市伊万里市に点在する窯跡をいつものように巡る。
取材メンバーは同イヴェント実行委員長坂本さん、同誌編集長白洲さん、
目の眼社社長井藤さん、カメラマン安藤さん、そして作陶家矢野さん。

かねてから「窯跡を巡ってみたいと思っていた」と白洲さんは仰る。
…こういう方はいないなぁ、と。
と、いうのも実際に現地を訪れる事は「古唐津数奇」であったりしても容易ではないから。
現地の学芸員以外、そうそういるものではない。
僕の知る限り、発信力のある著名人では氏が初めてだ。

伝世品を数多く知る氏は、窯跡を訪れる事によって今までの「点」を「線」にしたかったのでは、と
恐れながら推察する次第。陶片を手にしながら色々と思われた事だろう。
「道園ぐりぐり文の茶碗」も「道園古窯」を訪れ、
「朝鮮唐津徳利」も「藤の川内古窯」の地を踏む事により視野はひろがる。
もし…そうであれば案内人としてこれほど嬉しい事はない。

因みにコースは以下の通り。
椎の峰陶工さんのお墓→藤の川内→市ノ瀬高麗神→道園→甕屋ノ谷→飯洞甕→皿屋

雪が散らつきそうな凍てつく曇り空の下だったが、彼の地の空気は限りなく澄み、澱んだ空気の中で生業を立てている僕は生き返る心地だった。「寒い」なんぞ欠片も思わず、嬉々として古陶の里を同好の方々にご案内した。

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中でも2009年年末、陶友伊藤さんと訪れて以来の市ノ瀬高麗神は印象深かった。
陶片は他の古窯同様、前回以上に減っていた。が、窯跡下を流れる小川のせせらぎが清らかで、なんとも良かった。この癒し具合はヤバかったし、窯跡から戻る道すがら、皆で交わした陶談も痛快だった。


それらに加えて白洲さんの仰る事が核心をついていて心地良かった。
「美しい里山が杉に浸食されてる」等々。
甕屋の谷は果樹園になっている。
巡った窯跡の大半が杉林にあったがゆえ、彼の地の開放感に愉し気な氏の笑顔がとても印象的だった。
僕も針葉樹より広葉樹だな、と改めて思ったね。

学芸員Fさんや地主Iさんのご理解、それらをつないでくださったT師匠…。
全てが良い形でリンクした7時間。
いい加減な気持ちで過ごすそれとは比較にならない濃密な時間だったし、モノに土地に、そして歴史に1秒たりとも無駄にしない真剣な気持ちで向い合った事は貴重な経験になった。

同行された皆さんも、色々と感じたのではないだろうか?
その想いが少しでも「目の眼」を通じて伝わればなぁ、と。拡散すればなぁ、と。

今年も「唐津やきもん祭り」に関わらせていただく事になりそう。
先般の、松の井旅館での試みとは異なる発信をするつもりです。                                          
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やきもん祭り実行委員長・一番館の坂本さんをはじめとした有志の方々の試みが4年目を迎え、更なる高みに登りつつある。

←坂本さん、白洲さん、そして筆者(L→R)



今回の取材が、微々たるものであっても、その後押しになればこれほど嬉しい事はない。
愛して止まない彼の地の良さを幾許かでも伝えられたらなぁ、と。

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そんな事を思いながら盃をとっかえひっかえ万齢純米をやっております。
明日の東京は、雪なのかなぁ。