古唐津 岸岳庵

24時間古唐津数奇 feat. 初期伊万里・李朝・木地盆

盗掘について

伊万里市に住む友人から連絡があった。「椎の峰がまた盗掘にあった」と。2007年にも大規模にやられているが、今回も縦4メートル、横3メートル、深さ2メートルの被害。

前回、事件直後の古窯跡に赴いて絶句した。本当にめちゃくちゃ。工事現場みたいな感じだ。そこら中に陶片が散乱していた。それ以上に驚いたのは、そこで多く目にした絵柄の、傷の多い大皿が事件から半年後に「甕屋の谷」と銘打たれて都内大手の店先にあった事実を体感した時。同じように小森谷の時も報に触れて何ヶ月かたって、あきらかの彼の古窯発掘の無地唐津盃が市場に過剰供給された。

盗掘は埋蔵文化財保護法に触れる犯罪である。

今でこそ盗掘はそのエリアに居住する方々の協力で厳しく監視されている。が、ほんの10年前までは盗掘を多めにみる空気があったことは事実だし、それこそ古唐津の著書をしたためておられる研究家のほとんどは自らの発掘品を持ち帰り、自書で披露したり。

そんな経緯を経てきた伊万里市唐津市をはじめとする古窯を擁する地方自治体はなけなしの予算を叩いて根こそぎ発掘調査を行い、すべての出土品を収蔵するぐらいのことをしない限り、間違いなく盗掘という行為がなくなることはなかろう。

ヴォランティアによる埋めなおし、心無い輩による盗掘。
この不毛な鼬ごっこに終わりがくるのはいつのことやら・・・。

「埋めなおしをしたり、木の根っこを掘らない、という地主さんへのマナーさえ守ればいいんだよ」とのたまう初老の蒐集家を前に苦笑せざるをえない自分がいる。