古唐津 岸岳庵

24時間古唐津数奇 feat. 初期伊万里・李朝・木地盆

危ない、あぶない、アブナイ

仕事が早仕舞い。
「そんなに寒くないし、歩いて帰ろう」と踏み出した。
そこそこ歩いて目についた、とある老舗骨董屋さん。
敷居が高かそうで今までお邪魔した事がなかった。
…が、「えい、ままよ」とドアを開けた。
週末の、しかもフリーになった気持ちが背中を押してくれた。

入店したら一転肝が座り、一つ一つを丁寧にみて行く余裕が生じた。
古民芸の品々の中に僕の好きなものがちらほら。
モノに見入っていると「いらっしゃいませ」と店員さんが声をかけてきた。
「すみません、お品をみせてください」とお断りをしてチェック継続。

徐々に奥へ。
最奥の左斜め前方の棚に、僕の目がロックオンされた。
良い寸法の盃が鎮座していた。
時計を外し、手を伸ばす。

厳しい高台、還元、酸化炎焼成の片身代わり。
盃と茶碗の、ちょうど間ぐらいの寸法。
闊達な絵も…。

「これ、良いのか?、悪いのか?う~ん、ダメ??いや、良いかも!!」
そう思い迷ったはじめた瞬間に、知識が感性を浸食し出した。
直感=感性と知識がバランス良く反応する場合、大きな間違いをする事はないように思う。
「こういうものはあんまりないけど、絵は松浦系によくあるもので、間違い無いかなぁ。更には高台よいし…。土味は伝世でよくわからないけれど武雄北部系かなぁ?有りかも…」と頭の中がぐるぐる…。
知識が感性を覆い尽くし、更に物欲が追い打ちをかけてきた。
典型的なダメコースだが熱くなった自分は止められない。

結局「いくらですか?」と店員さんに問うた。
すると…
「?」な値段がかえって来た。
中途半端な額…モノを見て、ではなく金額で答えが出た。
急降下する物欲。
その瞬間にモノが全くの別物に見えたのでした。

イケテナイなぁ、自分。
もっともっと多くのものをみて、接して、目を鍛えねば。

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「梵」は香しいお酒。
冬だけど今宵は平盃で楽しみつつ。